パスカルの法則
閉じた流体を押すと、その圧力は押した場所だけでなくあらゆる方向に等しく広がる。つまり小さなピストンへの小さな力が、大きなピストンへのずっと大きな力と同じ圧力をつくれる—これが油圧リフトが力を増幅する仕組みである。
公式
F₂ / F₁ = A₂ / A₁
- F₁ — 入力する力 (N): 小さなピストンに下向きに加える力
- A₁ — 入力する面積 (m²): 小さなピストンの面積
- F₂ — 出力する力 (N): 大きなピストンで発生する力
- A₂ — 出力する面積 (m²): 大きなピストンの面積
例題
油圧リフトの小さなピストンの面積が 0.01 m²、大きなピストンの面積が 0.1 m²。小ピストンに 10 N で押すと、大ピストンにはどれだけの力が現れますか?
- F₁ = 10 N
- A₁ = 0.01 m²
- A₂ = 0.1 m²
- F₂ = F₁ · (A₂ / A₁)
- F₂ = 10 N · (0.1 m² / 0.01 m²)
F₂ = 100 N
自分でチェック
同じリフトで、小ピストンを 10 N ではなく 20 N で押す。大ピストンに現れる力は?
- 正解: 200 N
- 20 N
- 2000 N
正解! 面積比は同じ 10 なので、20 N かける 10 で 200 N です。
この油圧リフトで重い車を持ち上げるとき、最も小さな力で済ませるにはどちらのピストンを押せばよいですか?
- 大きなピストン。10倍の面積があるから
- 正解: 小さなピストン。入力する力が小さくて済むから
- どちらでもよい。変わらない
そのとおり! 小さなピストンを押すほうが小さな力で済み、その圧力が伝わって大きなピストンでずっと大きな力になります。
どこで見られるか
整備工場の油圧リフトは、まさにこの法則にペンキを塗って実物にしたようなものだ。整備士が小さなピストンをささやかな力で押すと、閉じられた油がその圧力を弱めることなくシステムのすべての壁に伝え、車の下の大きなピストンがそれを 2 トンの車を持ち上げるのに十分な力に変える。油圧ブレーキも、歯科の診療椅子も、油圧ショベルのアームも、みな同じ力を増幅するトリックで動いている。
よくある誤解
流体は押した方向にばかり強く押すと思いがちだ — 閉じた流体は圧力をあらゆる方向に等しく伝えるので、出力ピストンはどの向きを向いていても押しの全体を受け取れる。もっと見抜きにくい罠は、増幅された力をタダのエネルギーだとみなすことだ。面積比が 10 なら、小さなピストンは大きなピストンが上がる距離の 10 倍進まなければならず、入った仕事と出た仕事は等しく、エネルギー保存則はいぜんとして成り立つ。
つながり
これは静水圧を直接下敷きにしている — 同じ圧力という概念を、自重でじっと載っている流体ではなく、誰かが外から積極的に押し縮める閉じた流体に適用したものだ。この法則が行う取引、すなわち力が増幅される代わりに距離が縮むという交換は、エネルギー保存則が油圧の中に現れた姿である。F₂ / F₁ = A₂ / A₁ は、てこの規則を流体向けに言い直したものだ。続くアルキメデスの原理は、静止した流体と、その中に置かれたどんなものにも流体が与える上向きの押しへと話を戻す。